etcカードをターゲットに
企業内のホワイトカラーがいらなくなるという問題を生じることになる。
実際、バブル崩壊後の不況の中でホワイトカラーの過剰感は強くなり、リストラが起こった。
今後のIT化の推進によってこれは加速される。
さらに、すでに勤務しているホワイトカラーの解雇も難しいとなるとIT導入費用は単にコストの上乗せにしかならない。
システム移行のための費用は巨額であり、従業員が新システムに慣れるまでは以前のシステムの方が効率的であるのはいうまでもない。
移行期間中、二重投資になるとすれば短期的に費用がかさむのも必然性がある。
このように、短期的にITの導入は非効率であり、費用がかかることとなる。
また、そのシステムを利用しているトップ経営者にとっても新たに導入されたシステムの操作や利用方法に関して勉強しなければならないことはできれば避けたいところである。
現実に存在する経営者、職員が直ちには使えないために導入するデメリットが大きなものとなる。
こういったジレンマが日本におけるIT導入を遅らせることとなった。
先に述べたように、企業に雇われるホワイトカラーはITに代替されるが、ベンチャー・ビジネスを起こしたり、新しいビジネスモデルを設計したり、ITを利用する新しいビジネスでのいわゆる知的労働者の需要はこれからますます増加する。
かつてはブルーカラーの技術変化による労働需給のミスマッチが問題となったが、これは知識労働者にも波及することになる。
むしろ、知識社会の中心となる人は不足し、他方、IT化で不必要なホワイトカラーが増えるという矛盾は今後ますます拡大せざるをえない。
この意味でも知識社会に適した教育体制の再構築はさらに重要な課題になる。
そして、ホワイトカラーの再教育も大きな課題となる。
情報や経営資源の交流を通じて、企業側では新しい異質な情報・経営資源を手に入れることができれば、これを活用しながら経営者の個性によって独自の経営を運営していくことが可能になる。
日本型経営で個性的な経営が難しかったのは、経営者の個性にあわせて情報や経営資源を選択できなかったことによる。
ところがITによる情報共有化は経営者の個性による経営を実現するとともに、多様なアウトソーシングやアライアンスを通じてさまざまな情報・経営資源を活用していくこととなる。
情報化と日本型経営システムは代替的であり、情報化の導入は即、日本型経営システムの根本的改革を意味している。
IT技術を生かした日本型経営システムをいかに構築するかが今後の課題となるのは当然のことである。
結果、アメリカでITの導入が成功したのも市場経済を基本に情報ネットワークを作ったからである。
ところが、日本では市場における競争という概念は企業による利潤追求と理解され、「人々は商品としての労働を管理されることになり、労働に喜びの見つけられない疎外を生じる」との信念を植えつけられている人が少なくない。
そこで、これらの問題を解決するために日本型経営が生まれた。
日本型経営システムは「市場」でも「政府」でもない第3の途としてきわめて優れた側面をもっていた。
しかし、いうまでもなく、日本型経営も万能でなく、特にバブル崩壊後に多くの問題点を露呈することとなった。
日本型経営のもつアドバンテージを残しつつ、システムを改革していくことが求められている。
しかし、これを実行することはきわめて難しい。
いわゆる良いとこ取りをしようとしても、それに矛盾があれば、実行できないことになる。
日本が競争を軸にする市場経済の諸問題を克服できたのも、市場の欠点を偶然に補う方法を見出したからであった。
アメリカとは逆に、日本経済がIT化を導入するにあたって、その成否は市場のメカニズムをどのように取り入れるかにかかっている。
IT革命以前から、もともと情報通信技術を大々的に活用してきたのは「金融」であった。
コンピュータ処理の能力を最大限活用して、最初から関係していたのが金融の世界であった。
しかし、金融の通信は今日のインターネットとはまったく異なったオンラインシステムを中心として発展してきた。
そして、今日、インターネットへの対応が課題となっている。
そして、ITビジネスの発達のための金融とITの融合が模索されている。
すなわち、情報の流れと物・サービスの流れを切り離したのがITであったが、逆に金融との結び付きはもっと密接なものになる。
すなわち、金融と電子的に結びつくことでITは経済システムとしてより有効なものとなっている。
その点を考えることとする。
金融におけるITの役割を考えるために、まず、金融業におけるコンピュータ化の役割と歴史を見る。
金融業は預金者から預金を預かり、小切手・手形の決済を行い、その資金を企業などに貸し付けるのが基本的な業務である。
これは膨大なペーパーワークを伴うことになり、個々の記録や利息の計算などはそれほど複雑ではないが、業務上発生する情報処理量が膨大なものとなり、そのための業務体制が必要とされてきた。
しかも、ここでは安全で確実なことが要求され、他の産業に見られない膨大な人力を事務処理のために投入してきた。
そこで、この事務処理の合理化として、他の産業に先駆けてコンピュータが投入されてきた。
膨大な事務処理用のコンピュータの設備投資を行ってきた。
銀行はコンピュータ業界の最大のお得意先であった。
日本でも、昭和30年代に始まった最初のコンピュータの導入は、バックヤード(後方業務)の事務処理の機械化としてのバッジ処理(情報をまとめて処理する)であった。
スタンドアロン(1台のコンピュータに特定の情報処理を割り当てる)のコンピュータにパンチカードによって情報を入力して、ともかく決済・預金業務における記録や計算を行うのに使うことがその任務であった。
昭和40年代には預金業務の効率化と預金者へのサービス向上のために、本店と営業所間に第1次オンラインシステムが導入される。
これは事務処理センターのコンピュータと営業店の窓口端末を結ぶもので営業店での労力に代替するものであった。
このネットワークの完成によって営業店における事務処理が大幅に縮小するとともに、このシステムにより普通預金口座での口座振替による公共料金の自動振替サービスなどが始まる。
さらに現金自動支払機(CD)の設置なども始まる。
この導入は、来店する預金者に対して待ち時間の短縮などのサービス向上を実現することがその目的であった。
昭和50年代に入ると第2次オンラインシステムの導入が始まり、顧客情報ファイルによって名寄せなどの主要勘定科目での連動処理が行われるようになった。
そして、普通預金と定期預金の総合口座化が実現する。
ここでは預金担保による自動融資などのサービスが行われ、ATMとして預金の預け入れも自動化され、営業店における窓口業務はATMよって飛躍的な効率化が図られた。
昭和60年代には第3次オンラインシステムの導入が始まり、金融の自由化に対応した証券や外国為替などに関する新業務の処理が行われるようになり、顧客に対する情報サービスも充実することになる。
そして、パソコン、ワークステーションの導入が始まり、LANによる事務処理の統合管理が促進された。
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